脱・不幸恋愛体質

そいつは、一生懸命エサを取る為に海に突っ込んでいくんだけど、毎回失敗しては空に舞い戻ってきてるの。

他の海鳥は難なくエサを取るのに、そいつだけはまだエサにありつけないでいる。


不器用な海鳥。


何度も何度も、海に潜っては空に舞い戻っていく不器用な海鳥が、何だか自分と重なってしまう。


涙が頬を伝っていく。


めげてないつもりだった。
けど…少しだけ心が疲れちゃったみたい。

元カレに会っただけでこんなに心乱れちゃうなんて、私って意外と弱かったりするのかな?

そんな事を思うと、また泣けてきた。



「愛莉ちゃん?」


不意に名前を呼ばれ、慌ててゴシゴシと涙を拭いた。

振り向くと、翔君が心配そうな顔をして立って居たんだ。


「横、良いかな?」


そう聞かれて、私はコクリと頷いた。

翔君は私の横に座ると、何を言うわけでもなくただ黙っていたのだ。


沈黙が続く。

波の音がBGMになっている意外、静かな空間だった。

それが意外と心地良かったりする。

でも、ずっと黙って居る訳にはいかない。
先に沈黙を破ったのは、私だった。