私が涙を堪えながら仕事をしていると、彩乃が声をかけてきた。


「なんか有った?」


さすが親友。

私の表情だけで察してくれたあたりが、長い付き合いを物語っている。

私はさっき有った事を、要約して彩乃に伝えると

「サイテーだね」

呆れ顔の彩乃は、信じられないと言う様に顔を横に振っていた。


そんな私達の元に店長が来て

「今日2人共、終わってから空いてる?」

てっきり、おしゃべりを注意されるのかと思って姿勢を正してしまった。


「はい、大丈夫です」


見事にハモる声に、顔を見合わせて吹き出してしまう。


「本当に2人は仲が良いんだね。今日の夜バーベキューするんだけど、良かったら一緒にやらないかな?」


バーベキュー!!

楽しそうなイベントに、お祭り好きな私達が行かないわけが無い。


「もちろん、参加します」


「じゃあ、ちゃんと親御さんに連絡しといてね」


店長は笑顔でそう言うと、またキッチンに入って行ってしまった。


「楽しみな事が出来たね」

彩乃はがぜんやる気を出していた。
態度が分かりやすいのは、私だけじゃ無いようだぞ。


結局、夕方まで私と彩乃はホールを手伝って、今日の仕事は終わりとなった。