「蓮!!!」

思い切って振り返った視線の先には、相変わらずふてくされ顔の蓮が居た。

もしかして、パラソルの事を言いに来たの?!

怒られるのかな?なんて身構えている私の耳に、思わぬ言葉が飛び込んできた。


「帰るぞ」


へっ?!

今なんて……
私、耳がおかしくなったのかな?


「う、うん」


蓮は私の返事なんか待って居ないのか、自分の自転車に鍵を差し込んでいた。


一体、どうなっているの?!


訳が分からない私に、無言のまま自転車を押し始める蓮。

有無を言わさぬ威圧感に、私は蓮の横を一緒に歩き出していた。


ってか、蓮の家ってこっちだっけ?


全く理由が分からない私は蓮に聞く事も出来ず、終始無言でいた。

そんな状態が居心地悪くて、『何か話さなきゃ!!』という焦り、が墓穴を掘る羽目となってしまう。


「あの…パラソルの事…怒ってる?」


って、私のバカ!!!
もっと他に話題は有ったでしょうに。

案の定、ギロッと蓮に睨まれヘコむ私。


「当たり前だ。お前のせいで翔に殴られたんだからな」


はい、ごもっともな意見でございます。