花火が上がるたびに、体の芯まで響き渡ってくる音と振動。
「やっぱり、近場はすごい迫力だな。俺らも座るか」
「うん」
そう言うと、少しの空間を見つけ座ろうとした。
「あっ、これ敷いたら?」
渡してくれたのは、さっき蓮が持っていたうちわ。
意外に気配り出来る蓮に、半ば感心しながらうちわの上に座った。
「ありがとう」
なぜかまだ手を繋いでいて、花火を見ながらも手に意識が行っちゃうよ。
―――ドンドン―ドンドンドン
連続で打ち上がる花火は、ほぼ真上に上がって散っていく。
まるで花火のシャワー
「きれい…」
「……花火好きになったか?」
そう聞かれたから、迷わず
「うん」
って答えた。
そう、もう翔君には未練は無くて、思い出しても思い出になってきていた。
早いって言われたらそうなのかもしれないけど、なにせ付き合ってた期間が3日間だからね。
苦しみが通過していくのも早かった。

