脱・不幸恋愛体質


「だ、大丈夫…ありがと」


後から来る人の流れに逆らいながら、私達は立ち止まっていた。

人々は花火を眺めながら歩いているもんだから、私達に気づかないでバンバンぶつかっては睨まれてしまう。


「行くぞ」


そう言いながら、さりげなく私の手を掴むと、人ごみをすり抜けながら先導してくれる。



―――ドキドキドキドキ


人ごみの中で私がどんくさいから、はぐれない様に手を繋いでいるだけだって分かっているはずなのに、止まらない鼓動。

馬鹿みたいに何度も深呼吸しながら、平常心を保とうとする私。

やがて屋台が並ぶ道から抜け出し、潮見川の横の土手に着いた。

そこには、カップルや家族連れが座りながら思い思いに花火を眺めていた。


「すごい人だったね~~」


なんて言いながらも、やっとドキドキがおさまったばかりなのです。