キョロキョロ辺りを見回した。
蓮……らしき人…
居ない。
今までの緊張感が解け、瞳にじんわり涙が溜まっていく。
私の馬鹿!!!
涙が流れ落ちそうで俯いた瞬間
―――ボスッ
鈍い音を立てて頭を叩かれた私。
顔を上げると、うちわを片手に持った蓮が私を睨みつけていた。
「いた…」
「いた…じゃない!!!遅いぞ。何分待たせりゃ気が済むんだ?」
ブスッとする蓮。
私はパッと駅に有る時計を見た。
ちょうど、約束の時間から1時間過ぎていた。
「ごめんなさい!!!」
蓮に必死に手を合わせて謝る私。
「俺は地蔵か!!!手を合わせるな」
だって~~~
どうしたら良いか分からず、茫然と立っている私は、かなりマヌケだよね。
「……」
「プッ!アハハ…クククッ」
いきなり笑い始める蓮。
何がおかしいのか分からなくて、蓮に怒る私。

