「えっ?!」

「聞こえなかったのか?無理なら、辞めろって言ったんだよ」


なっ…!!!


こいつ、頭がおかしいんじゃない?!

こんな大量のパラソルを全部1人でやるなんて、絶対に無理に決まっているじゃないのよ。

きっと、私の事が嫌いで辞めさせたいから、イジメて辞めさせる魂胆なんだ。


なんて、性格悪いんだろう。


絶対に辞めてやるもんか!!!


「分かったわよ。全部やれば良いんでしょ?早くどうやるか教えなさいよ」

一瞬蓮を睨みつけると、私は立てかけたパラソルを力一杯砂に突き刺す。

蓮は私を見据えたまま、少し薄笑いを浮かべると突き刺したパラソルをヒョイッと片手で持ち上げた。


どこまでも感じ悪い奴。


「ちゃんと見とけよ」

そう言うと、Tシャツを肩まで捲り上げ黙々と作業を始めた。

大切にパラソルを開き丁寧に隅々まで手入れしている蓮は、さっきと同一人物だと思えないよ。

捲り上げたTシャツからは、黒く焼けた腕が伸びている蓮。

腕を動かす度に筋肉がしなやかに動き、男なんだと思わせる。

迂闊にもしなやかな動きに、ウットリと眺めてしまった。

そんな私に一言…


「お前、ちゃんと見てたか?」


そう言うと、立ち上がり


「全部やっとけよ」

とサラリと言い捨て、蓮は去って行った。