ポケットには妖精

「どうしてくれんのよ」
迫力ある怖い声と怖い顔で、片岡さんは由実ちゃんに詰め寄る。

由実ちゃんは蛇ににらまれたカエル状態。
いや……もはや、おたまじゃくし。

「どうしてくれるって聞いてるんだけど」
怒りMAX!
もう誰も止められない。

教室中のみんなの視線が、怒りの片岡さんと怯える由実ちゃんに注目していた。

由実ちゃんは目を泳がせて、自分の身体を抱いて涙目で何も言わない。



「髪でも切ってもらったら?」
教室の後ろの方で、片岡さんの友達が歌うように声を出す。

「拓真もいるしー。最近、髪切りバトルやってないじゃん」
ネイルを気にしながら言うと、クスクスと周りで笑う。

髪切りバトル。その言葉に由実ちゃんの顔が青くなる。

「髪ぐらいじゃ気がすまないけど」
片岡さんが由実ちゃんから目を離さず言う。

そうでしょう
髪切りバトルはダメだよ。
あれって女子はまだナイもん。
被害者は男子ばっかりだよ。

「気晴らしにはなるかもね」

そこでやっと
片岡さんはニヤリと笑う。

どーゆーこと?