それなのに…冗談、だなんて。
どうしてかわからないけれど、ジワリと何かがこみ上げてくる。
そんなあたしを見てなのか、祐介くんは「はぁ…」とため息をついた。
「…わかった。とりあえずお前、これ早く終わらせろ」
「…え、なんで?」
「いいから。……ご褒美、やるから」
そう小さく呟いた祐介くんの顔は、ほんのりと赤く染まってて。
あたしは口を動かすより先にシャーペンを持ち、勉強を再開していた。
「……ここは、こう?」
「そ。んで、初項が……」
祐介くんはさっきよりも細かく教えてくれて、
あたしは思ったよりもスムーズに問題を解くことができた。

