「ど、どうしたの…?」


「いや…、未生が素直に納得すると思ってなかったから…

明日、雪でも降るんじゃねぇか?」




失礼なっ!


仮にも彼女に言うセリフ!?




「でもまぁ……、嬉しい……」




ドキッ




急に優しく微笑んでそう話す祐介くんに、胸がキュンとする。



意地悪なくせに、たまに甘くなるんだもん……。



何かあたしばっかりドキドキしてるみたいで悔しい…!




「…未生。」


「ふ、ふぁいっ!?」




突然名前を呼ばれた事にびっくりして、


うわずった声で返事をしてしまう。




「…夏休み、楽しみだな」




微笑みながら、どこか楽しげな祐介くんの顔を見て



あたしも「うん!」と、笑顔で返した。




…この時のあたしはまだ気づいていなかった。



この天使の笑顔の裏に隠された、悪魔の微笑みに……。