悪魔と(仮)契約





だけど、その問いには答えず


こちらに歩み寄るのをやめない。



どうしよう…怖い……。


あたしは震えながら、廊下側の窓の方へと後ずさる。



窓なら一つは開いている


そう思ったから。



だけど、後ろ手で確認してみても


窓はガチャガチャと音をたてるだけで開かない。



そして、とうとう光貴くんは


あたしの前まで来てしまった。




「無駄っすよ。この教室のドアや窓は、全て閉め切ってありますから」




あたしのしようとした事を察したのか


そう言ってニヤリと笑う光貴くん。



あたしの中に更なる不安が押し寄せる。




「そ、それでどうかしたの?今日は…」




この空気を変えようと、掠れた声でそう尋ねた。



すると、光貴くんの表情が一瞬にして歪んだ。



「分からないんですか?僕にここまでさせたのに……」