そう言って祐介くんはこの場を去って行った。
あたしは…まだ動き出せないでいた。
だんだんと遠くなっていく祐介くんの背中を見つめる。
あたしは……あの人とどうなりたいんだろう………。
確かに友達としては好き……大好き……。
だけど、それ以上になるだなんて考えたことなんかなかった。
あたし達は“仮”の恋人で、今までそんなこと意識したことなんか
なかった…のに………。
『準備が整いました。生徒の皆さんは整列してください』
そんなアナウンスの空気の読めない声が聞こえた。
あたしはその場所から歩き出す。
今は自分の気持ちなんてわからない…。
そんなことを思いながら。

