「えーと、入場ゲートは…あそこか」
祐介くんと別れた後、
あたしは徒競走に出場するため、集合場所であるゲート前に向かっていた。
「…あの……、佐々木未生…さん?」
突然後ろから声がして、振り返ろうと首を捻る。
「はい?そうですけ………っ!?」
ど、と言い終わる前に何者かに口を塞がれた。
だ、誰がこんな……なんなのこれ。
「……〜!…」
塞がれた口で、必死に声を搾り出そうとするけど
それは声にはならず消え去る。
だんだんと視界がぼやけてくる。
意識が途切れる前、誰かの楽しそうな笑い声と
頭に祐介くんの顔が浮かんだ。
どうして今祐介くんの顔が………?
そう考えている内に、あたしの意識はプツリと途切れた。

