フライパンから油の跳ねる音が耳を擽る。肉の焼ける香ばしい香りが鼻を掠め、蓋を開けるとコンガリ良い具合に焼けた―― 「また、ハンバーグか……」 その一言に私はハッとして振り返る。すると、そこにはネクタイを解きながら食卓の皿を不満そうに見つめる夫の姿があった。 一体、いつ帰って来たのか気付かなかったけど、まぁいつもの事。存在感ないしね。 「あら、お帰りなさい。父さん。だってタクが食べたいって言ったんだもの。それより靴下とブラウスは床に置かない! ここで着替えない!」