俺には意味がわからっなかった。



だって、沙羅様の後ろ姿は怒っているようにも見えたから。



小さい頃から、ずっと沙羅様の傍にいた俺がわからない訳がない。



あれは、かなり怒っている。



それでも、沙羅様の傍を離れる訳にはいかない。



走ってはいけない廊下を走って沙羅様を追いかけた。



目の前に大きな玄関



その扉を開けると車に乗ろうとする沙羅様がいた。



「沙羅様」



「早くしなさい」



乗り込んだ沙羅様は、冷たく俺に言った。



自分が小走りで先に行ったのにも関わらず...だ



「すみません」



自分が悪いと思っていなくても、謝るのが人間だ。



感謝する時、謝罪する時、その場全てがどんな時か決まっている。



人は何の躊躇いもなく、心もこもっていない言葉を紡ぐ。



そんな、世界だ───...