この目を見るのは何回目だろうか...



悲しそうな目をするとき、俺の胸はこれでもかと言うくらい締め付けられる。



そして、沙羅様の婚約者が決まったとき、俺は冷静でいられるだろうか...



執事の仕事を完璧に出来るだろうか...



出来ることなら沙羅様を...俺だけのものに...婚約者を俺にはしてくれないだろうか...



「なだ───...真田!」



「は、はい」



俺の顔を心配するように覗き込む沙羅様



「どうしたの?いきなり止まって、体調でも悪いの?」



「いえ...少し考え事を...」



俺のその一言で、沙羅様の眉間に皺が寄った。



「真田」



「はい」



「あなたの仕事は?」



「沙羅様をこの命にかけてもお守りする事です。」



「他には?」



「ホカニハ?」



他に思い当たる節がなくて、首を傾げると...



「小さい頃約束したじゃない」



ボソッと何かを言い残して、スタスタと歩いて行った。