「佐伯せんぱっ……」 「航希っ!」 遮るように聞こえた甲高い女の人の声。 私が居た場所は街灯も何もない真っ暗なところだったせいか、マフラーでスッポリ首と口元を覆った佐伯先輩は気付かずに行ってしまった。 「来るなって言っただろ?」 「いいじゃ〜ん!会いたかったんだもんっ。ね、今日部屋行っていい?」 腕にギュッとしがみ付きながら甘い声を出す女の人。 その後ろ姿は前に屋上で見た派手な先輩。 彼女……かな。 前も仲良く歩いてたもんね。