「最低なこと言ってんのはわかってるけど、もう俺に関わるのはやめて欲しい」



先輩の言葉はあまりにも残酷で。


どう返事をすればいいのか


なんて言えばいいのか


わからない。



なんだか心にポッカリ穴が空いたような、なにか大事なものを失ったような感覚に見舞われた。



「……わかり、ました」



かろうじて出て来た言葉はこれだけ。



「それだけ言いたかっただけだから。じゃあな」



「…………」



去って行く足音を聞きながらゆっくり顔を上げる。



先輩の背中が夜の闇に紛れて消えて行くのを、私はジッと見つめていた。