「やっぱりボーッとしてて具合が悪そうだよ?熱でもあるんじゃない?」
やめてよ、そんな顔で。
私の心配をしないで。
光流先輩に触れているその手で……。
「触らないでっ‼︎」
智沙先輩の手が額に伸びて来るのを見て思いっきり払いのけた。
パシッと乾いた音が周囲に響く。
智沙先輩の手は大きく宙を舞った。
やめて
やめて
やめて
やめて……。
これ以上
智沙先輩の良いところを知りたくないの。
知ってしまうと私は
もう光流先輩の前には出て行けない。
もう
もう……
「それはやり過ぎだろ。智沙はお前のことを心配して」
さっきよりも冷たい光流先輩の声が聞こえて目を向ける。



