「じゃ、行こうか。」

「うん。」

私とシュウは二人で外に出掛けた。
考えてみると、二人で出掛けるのはひさしぶりのことだった。



(ちょっと前まではどこに行くにもいつも一緒だったのに…)



道の方向からして、シュウは近くのショッピングセンターに向かってるようだった。



「ねぇ、シュウ、どこに行くの?」

「うん…服、買おうと思って…」



(服か…)



そういえば、最近は服を一緒に買いに行く事もなかった。
ずっと別々だったもんね…







「……どう?」

「うん、すっごい似合う!
格好良いよ~!」



シュウのお気に入りの店で、シュウは光沢のある黒いスーツを買った。
シュウが格好良いことはわかってたけど、久々にみたスーツ姿のシュウはまるで芸能人かホストって感じで、惚れ直してしまった。
あぁぁ、素敵過ぎる!
昨日まであんなにもやもやしていた気持ちが、一気に吹き飛んでいったような気がした。
シュウは昨日昼頃から出掛けて、三時間ちょっとして帰って来た。
もっと早く帰るつもりだったけど、友達としゃべってたら遅くなったとか、シュウには珍しくいいわけがましいことを言うのがいやな感じだった。
そんなこと言わなくても、私はシュウが誰と何をして来たか知ってるんだよって言いたくなる気持ちをぐっと押さえて、何も気付かないふりをするのはとても苦しい。
シュウはやけに機嫌が良くて…そのことがまたとても辛かった。
ここあちゃんはテクニシャンだから、きっとシュウは身も心も満足したんだろう。
あまりにもあからさまな笑顔で…思い出したその顔を私は頭から払い除けた。
それにしても隼人君はここあちゃんの浮気に気付いてないんだろうか?
それとも、気付いてても何も言わないのか…
ついには、ここあちゃんをしっかりと捕まえていない隼人君に腹が立ったりもした。