『別に問題ないですわよ?その仕事、私も手伝いますわ』



立食パーティー前、副委員長の仕事について星華があいつにそう告げた瞬間――

俺は自分のプライドがガラガラと音を立てて崩れたような錯覚に陥った。



自分で言うのもどうかと思うが、純然たる事実として――俺は容姿や成績において人よりかなり優れている。


だからこそ自分にはある程度の自信を持っているし、自分が正しいと思った時はそれを貫くようにしている。


それが原因で横暴だの強引だのと言われることもあるが、それは仕方がないだろう。


俺だって子供じゃない、全員が全員俺の考えを理解し、共感してくれるとは限らないと知っている。


……知っている、はずだった。



『別に問題ないですわよ?その仕事、私も手伝いますわ』


『―――ッ!』



そのはずなのに、星華があの仏頂面の言葉に頷いた瞬間――俺の心を覆ったのは、紛れもない敗北感だった。


思わず星華に抗議の声を上げようとして――俺はそんな自分の行動に驚き、ぐっと口をつぐむ。



(なんで俺、そんなこと――)