「っ、やば……!」



跳び箱の高さを知らなかった私は、つい勢いをつけすぎてしまい――空中でバランスを崩してしまったのだ。



(やばいやばい、このままじゃ潰れたカエルみたいな恰好で着地することになっちゃうよ!!)



一瞬、その姿を頭の中で思い浮かべ――

それだけは嫌だと思った私は、覚悟を決めてバッと両手を伸ばした。


そしてそのまま、飛び前転よろしくマットの上を一回転して着地する。



(よし、なんとか成功!)



すぐに立ち上がった私は、回転のせいでグラつく頭をおさえながらも何人か抜き去って

次の走者へたすきを渡す。


……そして、走り終えた私は。



(どうだ見たか!私だってやればできるんだよーだ!!)



アンカーとして準備を始めていた敬太様の方を振り向き、

ポカンとしている彼へと壮絶なドヤ顔をキメたのだった。