「た、頼みます……!」
息の絶え絶えに差し出されたのは、水色のたすき。
それをしっかりと受け取った私は、悲しそうな表情をする彼へ笑顔を向けて――
「頼まれましたわ」
直後、加速した。
「――――ッ!」
顔にぶち当たる空気に目を細めつつ、低い体勢のまま足を前へ前へ前へ。
景色も歓声も置き去りにして、私は全力で走り出す。
地面に落ちた網の下を獣のような四つん這いになってくぐり抜け、
縄跳びを10回飛ぶゾーンを手早くクリア。
そのままの勢いで平均台の上を走り抜けると、最後の障害物である跳び箱を目指す。
(よし、追いついた!)
少し前を走る他のクラスの人の背中を見つつ、私は勢いよく踏み切り板に飛び乗った。
しかし、そこで予想外のことが起こる。