(足を、ひねったのか……!)
痛みに顔を歪めながら、懸命に平均台を渡りはじめるクラスメイト。
その横を何人もの生徒が追い抜かして走っていく。
自分が抜かされていることに気付いて、悔しそうに顔を歪める彼の表情を見た瞬間
――私の心の中で何かのスイッチが入った。
「……すみません、真凛さん。少し行ってまいりますわ」
「へ?あ、うん!」
私は真凛ちゃんに言って立ち上がると、その場から素早く駆けだした。
向かうのはもちろん、たすきを受け渡すリレーゾーン。
私は次に走る自分のクラスメイトを見つけると、
まだ彼が障害物に奮闘していることを確認してから声をかけた。
「すみません、この後私がどこかで走ることって可能ですか?」
「え?……って副委員長さん!体調のほうは大丈夫なんですか!?」
「はい、ご迷惑をおかけしました」
「いや、迷惑だなんてそんな……。ってそうだ、体調が大丈夫なら走ります?
俺、ちょうど副委員長の代走だったんですけど」
「まぁ、そうだったのですか!」
なんてちょうどいい。これはあれか、運命ってヤツか!
私はその男子に自分が走ると伝えると、
ようやくこちらへとやってきた男子生徒に合わせてコースへと出た。
緊張でドキドキする胸を体操服の上からおさえつつ、私は走ってくるクラスメイトをを待つ。