(早く見たいなぁ、真凛ちゃんのお姫様抱っこイベント!)
私は胸をドキドキと高鳴らせながら、チラチラと2組のバスの方へと視線を向けた。
……けれど、降りてくる生徒たちの中にまだ二人の姿はない。
「……遅いですわね」
しびれを切らした私が思わずボソリと呟いたその時、やっと敬太様がバスから降りてきた。
……けれど、その腕の中に真凛ちゃんの姿はない。
(アレ?)
おかしいな、なんでお姫様抱っこしてないんだろう……と首を傾げていると、
ふと顔を上げた敬太様とバッチリ目が合ってしまった。
その瞬間、朗らかだった敬太様の雰囲気が一気に黒く染まる。
(……や、やばい!)
なんとなく嫌な予感がした私は、
こちらへ向けて歩き出した敬太様から逃げるべく咄嗟に背を向ける。
が。
「……あ、きゃぁっ!?」
「ふふ、逃げようとするなんて酷いよ。……ね、星華」
次の瞬間、あっという間に距離をつめてきた敬太様にガッシリと肩を掴まれていた。
しかも、そのまま流れるように自然な動作でお姫様抱っこをされる。
一瞬身体のバランスが不安定になった私は、ついつい敬太様の首に手を回し……
ってどうなってんのコレー!?


