婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。





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途中で2回ほど休憩を挟みつつ、バスは無事に目的地である高級ホテルへと到着した。


幸い、薬(家で飲んできた)が効いたようで、もう頭痛や悪寒は全く感じない。



「……もう大丈夫そうだな」


「はい。ご心配をおかけしました」



どこかホッしたような菅原様の言葉に笑顔を返しつつ、


私は手荷物を持ってバスから降りる。


大きな荷物については、後からホテルの従業員さんたちが各部屋まで運んでくれるので安心だ。


けれど、今はそんな事より……。