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一方その頃。



「はぁ、あれが美男美女カップルってやつか……!すごくお似合いだったなー!!」



合宿の荷物を確認していた『ヒロイン』こと真凛は、そう呟きながら今日見た光景を思い出した。


――澄んだ青空と、満開になった立派な桜の木。


そして、その下で見つめあう『王子様』と『大和撫子』の二人……。



(あーもう、本当に悔しい!どうしてあそこで写真を撮らなかったんだろう私!!)



星華が聞いていたら



『いや、そもそもそんな事覚えてなくていいから!今すぐ記憶から消去してー!!』



と言って真っ青になりそうな言葉を心の中で叫びつつ、

真凛は次々とバッグの中に荷物をつめていく。


その間にも、加速した彼女の妄想は止まらない。



「あの二人は婚約者同士だっていうし、

きっとこれからバラ色の学院生活を繰り広げるんだろうなー!あこがれちゃうや!!

せっかくメアドを交換したんだし、

敬太様との素敵な恋の話とか聞かせてもらえると嬉しいなぁ」



そんでもって、私も素敵な恋がしたい……!


なんて乙女らしい事を考えつつ、真凛は荷造りを完了させる。