(えぇ!?ちょ、ちょっと待ってよ!)



前世の記憶を思い出した事よりも強い衝撃を受けた私は、慌てて西園寺星華についての記憶を掘り起こした。


そうして思い出したのは、真凛ちゃんと敬太様が仲良くなってきてから『敬太様の婚約者』として登場する星華のこと。


大和撫子そのまんまな容姿を生かし、優しい笑顔で真凛ちゃんに近づく星華。


しかし、裏では真凛ちゃんに様々な嫌がらせをしている星華。


そしてそれがバレた瞬間、今までの笑顔や優しい態度をかなぐり捨て、大きな声で叫ぶのだ。



『ねぇ、知っていて?

最初に会った時から、私(わたくし)は貴女が大嫌いでしたのよ!!』



それを聞いて、信じられないといった表情でその場に座り込む真凛ちゃん。


そんな真凛ちゃんを見て、勝ち誇ったように高笑いをする星華――。



(……って、そんなの無理だってばー!!)



そこまで思い出して、私はブルブルと首を横に振った。


そもそも、前世でも現世でもいじめとは無縁な平凡少女として暮らしていたのだ。


それなのに、いきなり悪役でいじめっ子とか!ハードル高すぎるって!!


パニックになった私は思わずベッドにダイブすると、唸りながらゴロゴロとその上を転がった。


――そして、ふと。



(……いや、待てよ。もしかしてこの悪役ポジション、実は一番オイシイんじゃないの?)



そう考えて、私はむくりとベッドから起き上がった。