「なぁ敬太。お前、本当にこんな形で結婚しても良いのか?」
「あ?何を言い出すんだよいきなり。そんなの当たり前じゃねぇか」
親父がなぜそんな事を問うのか分からず、思わず俺は眉間にシワを寄せた。
将来背負う会社のために自分の結婚を利用する覚悟など、とうの昔にできている。
それに……惚れ込んだ女がいればまた違ったかもしれないが、そんな事は全くないのだ。
よって、何も問題はない。
けれど親父は、それでも心配そうに俺に言い聞かせた。
「敬太、私たち家族はいつだって敬太の味方だからね」
「……はぁ」
真剣な表情を浮かべる親父に首をかしげつつ、俺はその場をあとにする。
(あんだけ念を押してくるってことは、なにか『七宝院星華』に問題があるのか?実は人格破綻者だったりとか)
なんとなく疑心暗鬼になった俺は、『七宝院星華』について軽くさぐってみた。
しかし、返ってくる結果はマトモなものばかり。
(おかしいな、特に変な点は見つからないのだが……)
モヤモヤした気持ちを抱えたまま時は過ぎ、
あっという間に俺は婚約披露パーティーを迎えていた。