(でも、そろそろこのボケっぷりをなんとかしねぇとな。

母さんと弟の翔太なんて、最近はそろって強烈な天然ボケをかましてくるし……)



もう西山家でマトモなのは自分しかいないんじゃないかと本気で悩みつつ、

俺は受け取ったプリントに目を通し始める。


そして――いかにもお嬢様らしい『大和撫子』が添付された写真に写っているのを見て、

一瞬で頭が冷静になる。



「――七宝院星華、か。何回かパーティーで見かけたな」


「そうそう、その子!敬太と同じ雪城学院にいるはずだけど、まだ一度も同じクラスにはなってないよね」


「あぁ。だから、詳しい性格なんかは分からないが……

確かに、こいつと俺が結婚すれば『NISHIYAMA』にも箔がつくってもんだな」



俺は一つ頷くと、プリントを親父に返した。


――いくら大企業に成長したとはいえ、元々西山家は庶民の出だ。


そのため、いくら業績を上げてみても『所詮は庶民』と俺たちを陰で嘲る人間も多くいた。


しかし、茶道の家元であり古くから伝わる旧華族の血筋である

『七宝院』と縁を結ぶことができれば――。



(会社にとって、これは大きな一歩になるかもしれない)



そう考えた俺は、グッと拳を握りしめた。


そんな俺を見つめていた親父は、静かに口を開く。