生徒全員がドレスアップするこのパーティーは、雪城学院の伝統行事だ。
さっすが、お金持ちな私立はやる事が違うよね!
いや、私も今はお嬢様なんだけどさ!
……冗談はさておき。
まぁとりあえず、ドレスアップした真凛ちゃんを
敬太様が特別にエスコートするという場面が『天シン』には出てくるのだ。
――そして、その時点の『天シン』に七宝院星華はまだ登場していない。
「……予定外である私の登場が、二人の関係になんらかの影響を出さなければいいのですが」
私はポツリと呟くと、そのままベッドの上に寝転がった。
髪はまだ湿ってるけど、乾かすのが面倒だしまぁいいか。
一日くらいサボっても平気だよねー、なんて横着な事を考えながら目を閉じる。
意識が闇に消える直前に思い浮かべたのは、
真凛ちゃんと敬太様が微笑みあう『天シン』のラストシーンだった。