(ほんっと、へそ曲がりに育っちゃって!)



思わず心の中で愚痴ったその時、お母さんは「いい事を思いついた!」と言って手を打った。



『ちょうどいいわ!全員揃ったところだし、記念に家族写真を撮りましょうよ!』



満面の笑みを浮かべた母の提案に、お父さんは自分の恰好を見下ろして少し渋い顔になる。



『えぇ?で、でも、お父さん寝起きだし……』


『まぁまぁいいじゃない!細かい事は言わないの!』



そう言うと、お母さんはお父さんの背中をグイグイ押した。


なんだかんだ言いつつもお母さんに弱いお父さんは、

頭をガリガリと掻きながら外へ出る。



優しくて、でもちょっと抜けてるお父さん。


厳しくて、ちょっと強引なお母さん。


生意気で、だけど実は不器用な弟。


――そして、私。



笑顔で写真に収まる私たちの中で、誰が想像できたというのだろう。


……これが、最後の家族写真になってしまうなんて。