(ちょ、痛い痛い痛いってば!!)


敬太様の堅い胸と後頭部に回された手によって頭をサンドされた私は、

鼻が折れるような衝撃に涙目になった。


しかも、押しつけられた場所が胸というより肋骨&筋肉っていう特に堅い場所なんだよね!

めっちゃ痛いよこんちくしょう!!



(い、いかん!このままじゃ顔を潰されてしまう!)



なんとなく嫌な予感がした私は、圧力から逃れるべく正面に向けていた顔を上に向ける。


すると、ちょうど鼻の穴がブレザーで塞がれるという緊急事態が発生した。



「ん、んんっ」


「ほらほら、恥ずかしいからって暴れないの」



とうとう本格的な命の危機を感じた私は、全身を使って敬太様から逃れようともがいた。


しかし、敬太様はそれを全く気にしないどころか、余裕の表情で私の動きを抑え込んでしまう。



(ちょ、テキトーなこと言わないでよ!こっちは真剣にヤバいんだってば!!)



このドS野郎め!お前なんか……えぇと、とりあえずハゲろ!

なんて心の中で口汚く罵り始めたそのとき、



「「あーッ!!」」



という女子二人分の高い声が聞こえてきた。


おそらくその声に驚いたのだろう、その瞬間少しだけ敬太様の力が弱まる。



(チャーンスッ!!)



咄嗟に私は身体を捻ると、敬太様の腕から素早く脱出した。


こちらをドS全開の笑顔で見つめてくる敬太様は見ないフリをしつつ、私は声のした方へ視線を向ける。


そこにいたのは――なんと、真凛ちゃんと真奈様の二人だった。