人通りの多い廊下。首元に回された腕。いつもより近いお互いの距離。


そして目の前にいるのは、(外見だけは)完璧な王子様。



「――――ッ!!」



ちょ、無理無理無理!なにこの羞恥プレイは!?


入学式早々からこれってどうなんだよオイ!リア充爆発しろって言われるよ!?

いや私たち別に付き合ってないけどさぁ!


私は耳まで真っ赤になりながら俯くと、敬太様の胸に手をついて離れようとした。


あぁ、視線が痛い!こっちをチラチラ見てるみんなの視線が痛いよちくしょー!!


と思いながら、両手に力を込めて距離を作ろうとする。が。



「あははっ、耳まで真っ赤になっちゃって。可愛いなぁ」


「ぷぎゅっ」



その直前、私の後頭部へと手を添えた敬太様がそのまま力を込めてきた。


その強い力に抗えず、私の顔は敬太様の胸元にムリヤリ埋められる。


衝撃に呆けていた私に次の瞬間訪れたのは、敬太様から香る爽やかなコロンの匂いと


――過酷すぎる圧迫地獄だった。