(こっちは今年、『悪役(恋のキューピッド)』という
重要な役割を果たさなきゃいけないんだよ!
副委員長の仕事と重なって大事なところで動けなくなったらどうしてくれる!!)
私は心の中で愚痴りながら、荷物を持って菅原様と共に教室のドアを開ける。
と、そこで。
「…………ぁ」
とある可能性に気付いた私は、小さく声を上げてしまった。
「……どうした。忘れ物か」
「い、いえ。大丈夫ですわっ」
私は慌てて取り繕いつつ、内心で冷や汗をたらりと垂らす。
――気付いたのは、今日の帰りも敬太様が待ち構えている可能性。
今朝も校門の前で私のことを待ち構えていた敬太様だもん、可能性はなきにしもあらず。
(……っていうかやばい!副委員長になったショックが大きすぎて、敬太様のことすっかり忘れてた!)
私は心の中で頭を抱えながら、教室の外へと足を踏み出した。
ま、まぁ、私も敬太様も車で登下校してるしね?さすがに一緒に帰るって言い出すはずがないよね!
……っていうか言い出さないでくださいお願いします!!
必死にそう念じながら、菅原様の後ろを歩き出そうとしたその時。
「せーいかっ!……どこへ行くのかな?」
そんな声と共に、後ろから腕が巻き付けられた。
……ただし腰まわりとかお腹のあたりではなく、『首』に。