それに気付いた高橋先生は、驚いた表情で声のした方を見つめる。
「菅原君……だったね。じゃあ頼んでもいいですか?」
「はい」
立候補したのは、もちろん菅原様だった。
真っすぐ前を向くその表情は、少し緊張気味な仏頂面。
(よし、よく言った!)
私はその横顔を見つめながら、心の中で喝采をあげた。
なんとなく嬉しくなった私は、菅原様と目が合うとにっこりと微笑んでみせる。
気分はそう、成長していく雛鳥を見守る母鳥。
――そんな風に浮かれていたから、私はその厄介事を回避できなかったのかもしれない。
「……それと、先生」
「なんですか?」
笑顔を扇子(いつも常備してます)で隠す私の視線の先、菅原様がしっかりとした口調で先生に告げる。
曰く、
「副委員長に、彼女――西園寺さんを推薦したいと思うんですが、どうでしょうか」
……エ?ナンダッテー?