(ありがとうございます、高橋先生!)
なんとなく答えにくかった私は、心の中で高橋先生を拝んだ。
……ちなみに、この学校の半分以上の人は『見つめあっていた人=敬太様』だと知っている。
敬太様はもちろん私もパーティーなどにはそこそこ出席している上、
婚約披露パーティーを昨日開いたばかりなのだ。
上流階級の子女が多く集まるこの学校においては、むしろ知らない人の方が珍しい。
(だから、『婚約者です』って即答しても良かったんだけどね……)
私は苦笑したまま、こんどこそ自分の席に腰を下ろす。
ふと頭をよぎったのは、
(私が婚約者だって即答しなかった事、敬太様が知ったらなんて言われるのかな……)
という疑問と不安だった。