「……そういう貴方こそ、星華から手を離してくださいますか?」


「……嫌だ、と言ったら?」



まさかと思いながら目を開けば、私はいつの間にか親切さんの胸に顔を埋めている状態だった。


しかも視線を上げてみれば、何故か親切さんと敬太様(邪笑つき)が睨みあっている。


……えぇっと、何が起こったの?



「あのぅ……敬太様?」



よく状況が理解できなかった私は、とりあえず不機嫌丸出しの敬太様に声をかけてみた。


私の声を聞いてハッと我に返った敬太様は、すぐに『王子様』の仮面を被り直すと

私の腕を引いて親切さんから離してくれる。



(ふぅ……よかった)



親切さんとはいえ男性に抱きしめられるのは、ちょーっと刺激が強かったからね。

正直助かった。