「ありがとうございます。敬太様のお陰で助かりましたわ」



私もすぐに大和撫子モードに切り替えると、お礼を言って儚げに微笑んでみせる。


……はたから見れば、それは桜の木の下で見つめあう美男美女にしか見えないのだろう。


実際は、



『敬太様、咄嗟にエセ王子を発揮できるとは素晴らしいですわね。もちろん悪い意味で』


『そっちだって似たようなもんだろうが!っつーかどんくせぇんだよお前!』


『なんですって!?これでも運動は得意ですのよ!』



交わした視線と視線で、そんな醜い言い争いをしているわけだけれども。