(こ、これはどう答えるべき!?)
安易に嘘をついてもすぐにバレる。
かといって本当の事を話せば、頭のおかしい女だと思われる。
しばらく考えた末、私は――
「……女の勘、というヤツですわ」
無難にごまかしておく事にした。
意味ありげに微笑しつつ、そっと敬太様の方を見上げる。が。
「……ふーん」
敬太様は、疑わしそうな目で私をじーっと見つめていた。
(この男、これっぽっちも信じちゃいねぇ……!)
信じないなら聞くなよ!と心の中で愚痴りながら、引き攣りそうになる頬を必死で抑えたその時……。
「うわぁっ!」
「きゃっ!?」
一際強い風が吹いたと思った次の瞬間、誰かが私の背中にぶつかってきた。
あっけなくバランスを崩した私の視界いっぱいに、舗装されたコンクリートが広がる。
(転ぶっ!)
咄嗟にそう判断した私は、目をギュッと閉じて予測した衝撃に備えた。
……しかし、何秒経っても痛みはやってこない。
「あら……?」
恐る恐る目を開ければ、私の身体は誰かの腕によって支えられていた。
まさか、と思いながら上を見上げれば……
「星華、大丈夫?」
そこには、心配そうにこちらを見つめる『王子様モード』の敬太様の顔があった。


