(ど、どうしよう!?)


誰も入ってこないだろう、と考えて準備室の鍵をかけなかった過去の私を殴りたい。


私はダラダラと冷や汗をかきながら、なんとか誤魔化そうと口を開いた。



「え、と、……カ、カラスの写真を撮影しようと?」


「……カラスなんて見当たらないけど」


「い、今ちょうど飛び立ってしまったんですの!」



すみません、嘘です。カラスなんて最初からいません。


私が撮影してたのは鳥なんかじゃなく、そこの窓から見える敬太様と真凛ちゃんなんです


――なんて言えるはずもなく。



「……ふーん、そうなんだ?」



そう言って向けられる菅原様の疑わしげな視線から必死に目を逸らす。



(あーあ、終わった……)



うまく写真は撮れないし、写真を撮ろうとしてる現場は見られちゃうし。


私って本当にダメだなぁ……自己嫌悪に陥っていると、菅原様が先に口を開いた。


しかしそれは意外にも、私の今の行動を追求する言葉ではなかった。