もともとクラスの中でも目立たない組に所属していた俺は、遠巻きにクラスメイトや先生の様子を観察するのが好きだった。


だから、これからはこの二人がどんな風に距離を縮めていくのか観察しようと思ったのは、ごく自然のことだった。


幸い、七宝院さんとは同じクラスのうえに前後の席、

さらには委員長と副委員長という関係になったので、彼女やその周辺を観察しつつ傍観するのに絶好なポイントを手に入れることができた。


しかも、同じ外部生ということで知り合った八車真奈は新聞部志望だという。


これで、情報の仕入れの方も万全だろう。



(さて、二人はこれからどんな風に進展していくやら……)



幸先のいいスタートに、俺は思わずウンウンと頷いていた。


いた、のだが――



「……七宝院さん。こんな人気のない社会科資料室でいったい何を?」


「え、と、……カ、カラスの写真を撮影しようとっ!」



始業式から2週間ほどしか経っていないある日の放課後。



とある人物からメールをもらった俺が社会科準備室で見つけたのは、窓際でカメラを構えて唸っている西園寺さんだった。