「星華、残念。俺たちは別のクラスだったよ」
「きゃっ!?や、やめてくださいませ敬太様……!」
思わず『滅びてしまえ!』と心の中で唱えてしまいそうな、無駄にキラキラしいイケメンに後ろから抱きつかれた瞬間、
今まで彼女を取り巻いていた人形めいた雰囲気が嘘のように消えたのだ。
(……なるほど、そういうことか)
それだけでなんとなく二人の間柄を察した俺は、それから少しの間、二人のやりとりを観察していた。
そうして判明したのは――どちらかというとイケメンのほうが少女の方を気に掛けているということ。
少女もイケメンのことを気にはしているようだが、どちらかというと照れているというよりは困っているように見える。
そんな様子を見ていてふと思い立った俺は、イケメンの腕の中で真っ赤になっている少女の腕を軽く引いた。
すると予想通り、イケメンの方から物凄い顔で睨まれる。
その反応を見た俺は、
(……なんだこいつら、超おもしろそう)
突っかかってくるイケメンに仏頂面で対応しつつ、心の中でニヤリとほくそ笑んだ。