椎の毒混じりの一言にみんな返事をし、豪勢な旅館へと入った。
勿論、中も綺麗で日本の和を主張するかのような造りで。
一つ、気になったのが。
「女将の紫乃でございます。皆様お久しぶりですね」
「あっ、あの時の?!お久しぶりです!!!」
「また会えるなんて、光栄ですね」
私達がお互いをあまり知らない頃に行った旅館の女将さんがいた。
静かに、なんていう椎の言葉はすぐに破ってしまったけれど。
「詳しいことは後から説明すっから。案内してくれ」
「はい、承知致しました」
あの時の様に腰に手を添えられて部屋まで歩いた。一つ違うことは、私が腕を絡ませていること。
「………椎、ありがとう」
「…別に深い理由なんてない」
紫乃さんは、一人で旅館を切り盛りしていて、あのままだと旅館も潰れてしまう。
心配だったけれど、私が心配しても意味ないって解釈していた。
「どこまで私を幸せにしてくれるの、椎」
「………お前が俺を拒絶するまで」
「っ、そんなこと「しない。んじゃない。させないからな」


