「着いたぞ。」

「あ、……えと、」

「メットよこせ。………なんだ?」

「ここは、どこなのかなぁ、って…」

「………そんなことか」


彼は浮世離れした綺麗な顔を崩さずに、私の質問を淡々と答えた。


「旅館だ。……俺の知り合いがやっている。……まあ割と色々と大丈夫だ」

「………そう(色々と大丈夫じゃない気がするけど)」



椎に抱き上げられて、ようやくバイクから降りる。

…………絶対大丈夫じゃないわよ。

だって、


「嵩!真帆を持ち上げるのやめなさい!!綾も奏夛も煽るのやめなさい!香月!華鈴ちゃんをいじめないの!!」


ほら。このメンバーで大丈夫な筈が無いのに………ッッ!!


「ぷっ……、お母さんみてぇだな」

「ふええーん‼︎夢夏ちゃあん‼︎」

「てかもうはいろーぜ、あちぃ」

「あぁ。……部屋入るまでは静かにしてろよ馬鹿共。」