「寒っ………」

「薄着だからな…、なるべく早く着く様にすっから、掴まれ」

「…ありがとう」


学校を出発して、暫く経ち。
バイクに乗ると風が凄くて、蒸し暑いはずなのに寒気すら感じる。

けれど、私のどんな小さな呟きにも、メット上聞こえにくい筈なのに答えてくれる椎が優しくて、暖かく感じた。


「そういえば、華鈴ちゃんは?」

「……錦戸のバイクじゃないか?」

「え?……いないよ?」

「……………いた」

「……本当ね」


ふと、右を見ると、バイクを運転している華鈴ちゃんがいた。

予想をはるかに越える。それがこの子なのだと改めて気付いた。



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