「髪をパープルにして、おばさんにならないのって真帆だけよ、多分」

「…複雑だよー」

「夢夏もやってやろうかー?ヘアアレンジ」


私の返事より先にホールドされてしまう体。うん、慣れっこだけれど、離れましょうか。


「奏夛。えと、ヘアアレンジより先に離してくれない?」

「くくっ…、そだな」


何がおかしいんだか。
奏夛の目線は明らかに真帆。


「……奏ちゃん。ずるい」

「あぁん?真帆ちゃんにもしてあげまちょうかー?」

「……ッ、いらない!!べーっだ」


すたこらさっさと香月の後ろに隠れてしまった真帆。


「奏夛もつくづく性悪ね」

「お、それ夢夏に言われるとはな」

「んなっ!」


反抗しようとしたら、かちゃりと小さな音をたてて、椎が入ってきた。


「みんな揃ってるか?」


一気に注がれる椎への視線。
そりゃあそうだろう。
華やかさに磨きがかかっているのだから。


「……椎君が髪をいじったりしたら反則だよー!?!?」

「チッ…、そこのフェロモン野郎にやられたんだよ。」

「な、なんか負けたよ色々!!!」

「知らねーよ。香月、準備は?」