「ったく…、鈍感」
椎は珍しく溜め息を押し殺すこと無く、大きな溜め息をした。
………辛い。
そりゃあこんな綺麗な顔に溜め息つかれちゃね。
「……んな顔すんな。」
つ、と髪を一束掬い、硝子細工の様な指に絡ませる椎。
私は椎の腕に捕まり、体勢を直し、椎を見上げた。
「……だって、怒ってるでしょう?」
「もういい。だから、悲しそうな顔すんな。」
やけに眉尻を下げて、悲しそうな顔をする椎。私、そんな酷い顔してた…?
「……なんでそんな顔するの?」
「…………お前だって」
「ふふっ、じゃあおあいこね?」
「………だな」
自然に。極自然に。お互い指と指を絡ませて椎に寄りかかった。
暖かくて、椎との距離をまた縮めたような気がした。


