-夢夏-
起きたのはすっかり朝で。
体が重い気がして、頭がズキズキしたからか、少しだけ起きるのが遅くなってしまった。
「おはようございます…」
「夢夏、おはよう」
「あ、おはよう、椎」
返ってきた言葉があまりにも少なかったから、リビングへ入るのに少しだけ戸惑ってしまった。
珍しく椎も、難しい顔をしていたし。
それでも私に向ける顔は柔らかくしてくれた。
「腹減ったか?」
「…実はあんまり。」
「そうか。…こっち来いよ」
「うん」
ひょこひょこと歩いて、椎の隣に座る。
………特に何も無い。
まあ変わらないけれど。
「そうだ。みんなは?」
「まだ寝てる。稜は走りに行ったけどな」
「へぇ、走りに……」
何かあったのかしら、稜。
まあ稜なら、ご飯食べたら嫌なことなんか忘れちゃうわよね?
でも少し心配だから、後でお話しようかな。