「ホント暑いわ」と、顔の前で手をひらひらと扇いだ。

そんな私達を見て、椎の眉毛がピクリと動いた気がした。



「なぁー、姫さん~?」



いつも通りの緩い口調で、私の肩に腕を回した奏夛。密着度の高さも毎度だ。



「なに?奏夛」


「今から何処に行くと思うか?」

「わからないけど・・・・・、理事長も来ないわね」


「んで・・・・・・・・・・」



更に距離を縮める奏夛。

そして、耳に吐息がかかりそうなくらい近づいた奏夛の、形の良い唇から出た言葉は。



「………綾と、ナニしたんだよ?」



思わず吹き出しそうなぐらい、私にしか聞こえないぐらい小さく、低くて、甘い声を出す奏夛。



「それはっ…、そのっ…」



ビクりと肩が動いて、足が思わず後退りした瞬間。